北陸中日新聞「地域未来派」に掲載されました

2024年2月19日(月)北陸中日新聞「地域未来派」に以下のとおり、掲載されました。

利用者の望み 寄り添い

 病院の付き添いサービスなどを行う事業所「ライフサポートあん・だんて」を昨年立ち上げた橋本千春さん。看護師やケアマネジャーの資格を生かし、患者が医師の説明を理解する手助けをしたり、「スマートフォンを使ってみたい」「花を買いに行きたい」など利用者のさまざまな希望に応えたりしている。 (聞き手・西村理紗)

 -起業のきっかけは。

 病院や市役所での勤務など過去の仕事を通して、人は体調がしっかり整わないと、「やりたい」と言うこともできないと痛感した。病気で余命を宣告された人は、死を前にして慌ててやり残したことをやろうとする。仕方がないことだが、伴走してくれる人がいたら、前向きにしたいことをもっと早くできたのではないかと思った。公的制度にはない、必要なサービスがたくさんあり、あればみんなが助かると思うサービスを、自分が提供しようと決めた。病院の付き添いでは、本人と医師の円滑なコミュニケーションや理解を手助けしたり、本人のやりたいことの実現や体調を見ながらの外出を支援したりしている。

 -サービスを始めてからの手応えは。

 「年寄りだから何もできない」なんてことはない。高齢者は少しの手伝いで何でもできる。でも、親子の間では難しいときもある。いくつになっても親にとって子どもは子ども、子どもにとっては親。自分も親に対してはお客さまと同じように接するのは難しい。親でも子どもでもない一人の人間として見てくれる人の方が話しやすいことがある。週に1回、一緒に病院に付き添う男性は、娘さんにも話したことがない話を私によく聞かせてくれる。それを娘さんに伝えると、「自分の知らない父を知った」と喜ばれた。

 -今後の目標は。

 人生100年時代。自分もこれから人生の後半戦に向かう中、やりたいことはもちろんやりたい。若い人にも「100年生きてても人生悪くない」と思ってもらえるようにしたい。高齢者も社会で役に立てる人たち。高齢者が若い人の相談に乗る機会をつくるなど、若い人の需要と高齢者のやりたいことをマッチングさせて、高齢者の活力を生かせる場所をつくっていきたい。